竣工年月 2022.01

好きなモノに囲まれて暮らすのは、心地よい空間と同じくらい尊重されるべき要素だ。
だが、モノが溢れているのは、心地よさを邪魔する。さりげなく、景色のようにおさまって、欲しいときにはすぐに取り出せる、そんな“適度な”距離感が肝要だ。
I邸に必要なのは、本の居場所だった。
愛着をもって集めた蔵書は、ホールに設けた書斎の壁面、廊下の壁面の本棚におさまった。
リビングとキッチンの間の仕切りを本を飾ることができる棚にして、本がさりげなく家の景色を彩るようにした。どこかにまとまった書庫をつくる、というアイデアもあるかもしれないが、それではしまいっぱなし、出しっぱなしになるだろう。
隠してしまわないで、うまく共存させることも、デザインの技だ。
そしてこの家にはダイニングは設けていない。これも施主の要望。
キッチンから棚を隔ててフローリングのリビング。その隣に10センチほど高さをあげて和室とした。それぞれの空間に少しずつ変化をつけて、緩やかに切り分けた。
家の中をうろうろしながら、本を探し、読み、寛く。
そういう時間が、今日も流れていてほしい。




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