竣工年月 2020.08
住まいに必要なものは、何だろう。
たとえどんな土地であっても、そこが暮らしの場である限り「ゆとり」が必要だ。
間口が狭く細長い土地。生活空間を「できるだけ広く」取りたいのが心情かもしれないが、敷地に建てられるだけの家を建ててしまうと、日射しが入ったり、風が通る道が限られる。
それでは、暮らしに息が詰まらないか——。
長屋にある坪庭のようなイメージで設けたK邸の中庭は、外であり、内となる。
暮らしながらアオダモの緑が視界に入り、風の強さや温かさが季節を伝える。
限られた敷地をいかに豊かに使うかが“設計”だと思う。
平屋のように見える2階建て。
玄関では、施主の憧れだった木製サッシの窓がまるでこの家の顔のように迎えてくれる。奥へ奥へとのびる1階に寝室を配して、1階だけで生活を完結できる造りに。
そしてリビングには、腰壁で隔ててあえて天井を低くした和室を設けた。
ここなら、適度にこもれて、適度につながっている。
狭くなく、広くもない。ちょうどいい。それが、目指すべきゆとりある空間だ。
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